並松信久「笹森儀助と地域振興―『南嶋探験』をめぐって」

 弘前藩士の笹森儀助は、政府の依頼で、明治26(1893)年に奄美群島から先島諸島にかけて、南西諸島の島々を視察して、その社会の様子を詳細に報告しています。その出張復命書をまとめたといえるものが『南嶋探験』という書籍です。
 この視察で、奄美群島の窮状を訴え、糖業改良や群民負債の解消等を政府に提言した結果、その課題を改善する適任者として、笹森儀助が「大島島司」(現在の大島支庁長にあたる)が選ばれて、派遣されることになります。
 この論文では、明治26(1893)年に行われた笹森儀助の南西諸島視察の背景と内容について、詳細に分析され、『南嶋探験』がもたらしたその後の影響についても考察されています。
 今から120年前、笹森儀助は、何の目的で南西諸島に派遣され、何を見て、何を考えたのか、その後の「大島島司」としての施策を理解する上でも欠かせない『南嶋探験』の全貌。それを理解するために参考となる論文です。

並松信久「笹森儀助と地域振興―『南嶋探験』をめぐって」(外部リンク)
『京都産業大学論集. 人文科学系列』38、2008年、京都産業大学

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