奄美の自然

 南西諸島は、もともとユーラシア大陸の一部でしたが、約1,500万年前に大陸から分離して、隆起と沈降を繰り返しながら東側に移動してきました。そして陸地の一部が、島として残された地域です。
 南西諸島の島々は、「高島」と「低島」に大別することができます。「高島」は、火成岩から成る高い山地に占められた島です。「低島」は、石灰岩(隆起サンゴ礁)から成る平坦な台地が広がる島です。奄美群島では、奄美大島・加計呂麻島・請島・与路島・徳之島が「高島」に、喜界島・沖永良部島・与論島が「低島」に分類できます。
 その「高島」が、島として残された陸地の部分です。その場所に生息していた生き物が、島に閉じ込められて、まるて「ノアの箱舟」のように島ごと移動を続けながら、特徴ある生物相が形成されたのです。
 島の総面積の約80%が山地で占められている奄美大島は、年間降水量が約3,000mmもあり(東京の年間降水量は約1,500mm)、世界的には乾燥地域が大半を占める緯度に位置していながら、珍しい「亜熱帯雨林」の森が形成されています。山地を覆う深い森は、常に雨水を貯え、河川の源流となります。奄美大島の生命は、恵まれた水環境に育まれているのです。
 奄美大島の深い森、そしてその森から流れ出す河川には、国際的希少種・固有種の生き物が多数生息、生育していて、日本屈指の生物多様性を誇ります。また海岸には、多種多様なサンゴ礁の生態系が認められ、サンゴ礁保全における重要地域として世界的に注目されています。そのため、現在、世界遺産登録に向けた取り組みが進められています。

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