山内晋次「硫黄からみた日本史と世界史」

 日宋貿易が行われた時代、「」の交易から、東アジアの壮大な歴史の動きが浮かび上がりはじめています。硫黄交易の最大の産地は、「平家物語」等でイオウガシマ・キカイガシマとして登場する薩摩硫黄島でした。同時代、奄美群島には、城久遺跡群(喜界町)、カムィヤキ古窯跡群(伊仙町) 等の重要な遺跡が営まれています。
 また14世紀に琉球国として明に朝貢する山北・中山・山南も、硫黄と馬が主な交易品でした。琉球国の硫黄産地は、徳之島の沖約60kmに位置している硫黄鳥島(沖縄県)と考えられています。硫黄交易は、琉球史を考える上でも、重要な視点となるにちがいありません。
 日本史リブレットシリーズ第75巻『日宋貿易と「硫黄の道」』(2009年、山川出版社)の著者である山内晋次氏による、硫黄交易の重要性をコンパクトにまとめた概要を紹介しておきます。

<物を通して見る世界史>
山内晋次(神戸女子大学教授)「硫黄からみた日本史と世界史」(外部リンク)
『世界史のしおり』2011年2学期号、帝国書院